7/11(土)お昼ご飯 鶏の照り焼き

7/11(土)お昼ご飯 鶏の照り焼き

妻を駅まで送った後、僕は「無」だった。

一週間の疲れからか、加齢なのか、怠慢なのか。何に対してもやる気が起きない。

平日は「休みになったらあれしようこれしよう」と考えるのだが、いざその時を迎えた今、生きる屍と化してしまった。

ただただ何もせず、ソファーで横になっていると、眠りについてしまった。

 

夢の中で僕は、妻とキャンプを楽しんでいた。

青空の下でビールを飲みながら、富士山を眺める。

妻がローストビーフを調理をしていると、目の前には横浜スタジアムと瓜二つの野球場が出来上がっていた。瞬く間に建設する日本の技術には驚かされるばかりである。

こけら落としは、ジャイアンツ対ベイスターズ。

夢特有の「いつの間にか移動」を駆使し、スタンドでビールを片手に観戦していると、妻が子犬と子猫を拾ってきた。

これまたいつの間にか、キャンプ場に戻って妻と一緒に子犬子猫を愛でていると、美味しそうなローストビーフが完成されていた。

 

目が覚めると、妻もキャンプも野球も犬も猫もローストビーフもいない現実が待っていた。

もしここに、妻のご飯がなかったら、「容疑者Xの献身」の堤真一のように咆哮していたかもしれない。

やっとのことで持ち堪えた理性を持って、鶏の照り焼きを口に運ぶ。

 

「美味しい………」

 

キリンビールの堤真一のように唸る。

この照り焼きを、前の日から仕込んでくれていることを知っていた。

だからこそ、しっかりと染みているその味が、美味しくもあり愛しくある。

愛に満ちた照り焼きをおかずに食べるご飯の美味しさは、午前中の僕からは考えられないほど大きなものだった。

  

すると、照り焼きのタレが、ご飯にも浸透していることを発見。

僕はその時、年甲斐もなく喜びの声を上げてしまった。

偶然の産物であるタレ飯をかき込めば、再びキリンビールの堤真一がやってきた。

 

照り焼きの横で準備万端なのは、たまご焼き。

いつものように優しい美味しさは、僕の胃と心を撫でてくれる。

妻の化身とも言えるたまご焼きのおかげで、午前中の無精を取り戻せるような気がしてきた。

 

妻のご飯は、いつでも僕に希望をくれる。

名作「やまとなでしこ」で、松嶋菜々子は堤真一にこう言った。

「私には見えるんです。十年後も、二十年後も、あなたのそばには私がいる。残念ながら、あなたといると、私は幸せなんです」

僕にも見える。何十年後も幸せな自分と堤真一が。

 

すっかり元気を取り戻した僕は、妻との所用の為に、身なりを整えてドアを開けた。

さぁ、休日を取り戻すぞ!

 

僕を待っていたのは、傘が吹き飛ぶような風と雷雨だった。

 

妻に感謝し、完食。ごちそうさまでした。

 

・まとめの一言

美味しかった。