4/7(火)お昼ご飯 ガパオライス

4/7(火)お昼ご飯 ガパオライス

お世話になっている先輩からこんな連絡が届いた。

「××っていうお店知ってる?」

そこは、妻と僕が初めて出会ったお店だった。

 

二人の始まりの場所。

あの日あの時あの場所で君に会えなかったら。

名曲をBGMに、そのお店での思い出を振り返らせて頂きます。

 

そう。

禍々しく、どす黒い思い出を…。

 

 

付き合ってから初めて二人で××に足を運んだある日。

××に行くのは、初めて会ったあの日以来。

「楽しみだね」なんて言いながら二人でにこやかに入店すると、店主の顔色が変わったのを僕は見逃さなかった。

 

その店主が僕らに近づき、飲み物を尋ねる。

妻はメニューとにらめっこし、決めあぐねていた。

少し待ったが、「先頼んで」という妻の言葉を受けた僕は、店主に飲み物を伝えた。

 

するとその瞬間、待ってましたとばかりに店主が口を開いた。

 

「かー!この男はダメだね。普通、女の子を先に注文させるだろ。先に注文されたら焦っちゃうよなあ?わかってねえなあ。この男はやめた方がいいよ」

 

これを書いている今も、はらわた煮えくり返っております。

 

聞けば、妻はこのお店に何度か通っていて、気難しくて有名な店主に「俺も娘がいるんだよね」と笑顔で話しかけられたこともあるそうだ(男の客には厳しく、笑顔なぞ見せたことはない)

 

つまり、この店主は気に入ってる女の子が男を連れてきたから、それに嫉妬して僕にいちゃもんをつけてきた。という仮説にたどり着いた。

 

申し訳ございません。少々お耳をお塞ぎください。

 

おい親父!お客さん相手に色気づいてんじゃあないよお!

だいたいあんたな、俺はこのお店が繁盛する前から何度も何度も行ってるんだよ!少なく見積もっても、妻の六倍はな!

今はなんか「こだわりの頑固親父」気取ってっけどよお、当初はそんなキャラじゃなかったの知ってっかんな!

ってか六倍も行ってんだから俺のことも覚えとけよ!

え?ナスみたいな顔に、しじみのような目をしているような奴の顔は覚えられない?

うるせえわ!!

 

荒れ狂う僕をなだめてくれたのは、ガパオライスだった。

「過去のことは水に流してさ、僕と一緒に踊ろうよ」

ガパオから差し出された手を、ガッチリと掴んだ。

 

「うめぇ………」

 

いつもと変わらぬ美味しさは、僕に安らぎを与えてくれた。

改めて思うが、わっぱ弁当で食べるガパオも垂涎ものだが、お皿に盛られたガパオをスプーンで豪華に食べる喜びは、コストコくらい大きい。

 

スプーンの上で踊るひき肉や野菜、そしてご飯。

それを一気に口へ運べば、ルンバのように激しいダンスを舞ってしまう。

 

それでいてピリッと辛味のあるエスニックな味付けは、タンゴのように強いアクセントが効いている。

 

気がつけば僕は、不慣れなダンスをガパオと共にこなしていた。

いや、違う。

「金髪狼」の異名で知られる往年の名レスラー、ニック・ボックウィンクルさんの名言「相手がワルツを踊ればワルツを」の通り、ガパオは僕に合わせてリードをしてくれているのだ。

 

やはり僕はガパオに、そして妻のご飯に助けられている。

 

完食し、穏やかな気持ちを取り戻した僕は、先輩に返事をする。

「××知ってます!すごい美味しいお店です!」

おっと。この言葉も送らないと。

 

「店主はめちゃめちゃ嫌な奴ですけどね!!」

 

妻に感謝し、完食。ごちそうさまでした。

・まとめの一言

美味しかった。