4/16(火)お昼ご飯 牛丼

4/16(火)お昼ご飯 牛丼

昨晩、自宅に到着した妻は元気がなく、明らかに落ち込んでいた。

聞けば、仕事でとても嫌なことがあったとのこと。
詳細を聞くと、妻に非は無く、僕も腹立たしい気持ちを覚えた。

しかし妻は「あっちの話も聞かないと、本当の所は分からないよね」と何かを諦めたかのように笑っていた。

僕はその悲哀に満ちた笑みを見て、ただただ胸が締め付けられた。
それと同時に、何もできない自分の無力さに、ただただ呆れてしまった。

いや、できることはある。

僕は短い手足を一所懸命に動かし、いつもより多めのおかずを作った。

優しい妻はそれを嬉しそうに食べてくれた。
少し、元気を取り戻したように見える。

僅かの安堵を手に入れ、一息つく。
すると、妻の携帯に同僚からの電話が。

「出ていい?」
「もちろん」
「ありがとう。ちょっとだけ話すね」

結果、45分の長電話。

夕ご飯を食べたあとよりも、明らかに元気を取り戻した妻。
新喜劇のようにずっこけそうになったが、妻が元気でいてくれることがなによりの幸せだ。

そして、妻を心配して電話をかけてくれた同僚の方にも感謝。
妻にはたくさんの味方がいる。そう思うと、鼻の奥がツンとなった。

すっかり元気を取り戻した妻は、台所に立つ。
そして拳を上げ、高らかに宣言。
「よし!明日は牛丼にしよう!」

僕は、平成のナポレオンを見た。

午前の業務を乗り切り、心躍らせてわっぱ弁当の蓋を開ける。

ある野球選手は、自分のあまりの好調具合に、打席に入った瞬間、ホームランを確信したことがあると言う。

僕は今ならその感覚が手に取るように分かる。

もう蓋を開けた瞬間に美味しいを確信。

確信を抱いたまま、牛丼を口に運ぶ。

美味しい。

やっぱり。

どのお店にも引けを取らないその味付けは、なぜか涙腺を揺さぶるほどの完成度。
気を抜くと、涙がこぼれてしまいそうになるほど美味。

そして、今日もつゆだくだ。
もう頭は真っ白に。

気が付くと「幸福の黄色いハンカチ」冒頭の高倉健さん以上にがっついていた。

いつものことだが、僕の脳内は「美味しい」に支配されている。
こんな幸福なジャックならいつでも大歓迎だ。

さらに、しっかりと紅ショウガをスタンバイさせている妻。
さすが。

僕は何かに取り憑かれたように牛丼をむさぼる。

もちろん、いつものゆで卵にもかぶりつく。

そんなゆで卵に癒されながら、妻を思う。

今日の仕事は大丈夫だろうか。
嫌な目にあっていないだろうか。

僕にできることはただ一つ。

ハーゲンダッツを買って帰ろう。

妻に感謝し、完食。ごちそうさまでした。

・まとめの一言
美味しかった。